こんにちは、10年後にFIRE(経済的自立と早期リタイア)を目指している経済ライター・ヒラノです。
- FIREを始めたいけれど、インデックス投資と高配当株投資でどちらにしたら良いか迷っている
- とにかく最短でFIREを達成する方法を知りたい
こんな悩みをお持ちではないでしょうか?
FIREにはいろいろな方法があり、どんな方法でも達成すれば、それはあなたにとって正解です。ただ、一番効率的な方法というのはあります。
FIREとは「Financial Independence, Retire Early(経済的独立と早期リタイア)」の頭文字を取った米国発のムーブメントです。倹約と投資、副業などを組み合わせて、30代など通常よりはるかに早い会社員リタイアを目指す手法です。
本気でFIREを目指している経済ライター・編集者10年以上の経歴で情報収集しまとめました。
「一番効率的な方法」を理解した上で、自分の仕事へのスタンス、人生の生き方などから考えていろいろなカスタマイズをしていくのがおすすめです。
この記事では、
- 一番効率的なFIREの達成の方法
- 自分なりのカスタマイズ方法
この2点について学ぶことができます。
これを学ぶことで、あなたのFIREが効率的になったり、続けやすくなります。
それでは結論からお話します。
現状で一番効率的なFIRE達成方法は、S&P500に連動するインデックス投資です。時間も節約できます。
ただ、その「効率」がその人に合とは限りません。効率性よりも、自分に合っているものを選ぶことが投資を継続していくために必要です。条件に応じて、カスタマイズしていきましょう。
インデックス投資<高配当ETF<高配当株
この順番でだんだん勉強すること、投資にかかる時間が増えていきます。ですから、カスタマイズする時に目安になるように、以下の質問に答えてみて下さい。
<カスタマイズのための質問>
- 仕事はどれぐらい忙しいですか?
→忙しいと高配当株選定の時間を作るのが困難です。インデックス投資を淡々と積み立てましょう。
- 不動産や副業など他に稼げる方法はありますか?
→不動産や副業、個人事業、多忙だが高収入な本業など他に稼ぐ手段がある場合、高配当株選定や投資の勉強に時間を使うよりも、そちらで稼ぐことに時間を使った方が効率的な場合があります。インデックス投資を淡々と買い増しましょう。
- 家計の見直しなどはできていますか?
→高配当株や高配当ETFについて学ぶ前に、その時間をまずは、支出の見直しに注力した方が、効率が良いです。少なくとも見直し期間中は、手間がかからないインデックスの投資信託の自動積立がおすすめです。
- 投資が初めてな人、続けられるか不安な人、FIREについて家族の理解を得られていない人
→不労所得の良さを家族や自分が実感して、投資を継続するために、インデックス投資をメインに、投資資産の1〜2割程度を高配当株ETFを持つのはいかがでしょうか。
- 株式投資が楽しくて楽しくて、銘柄選定が苦にならない人
→高配当ETFだけでなくて「高配当株」投資に突き進むのもありです。ただ、そもそもFIREの理論はインデックス投資をメインにしていることを忘れないで。
FIREの仕組みのおさらい
4%ルール
まずは基本から、FIREの仕組みをおさらいしてみましょう。
FIREでは、年間の生活費の25倍の金融資産を作るのが目安だと言われています。
なぜ25倍なんでしょうか。
その根拠が「4%ルール」です。
過去の金融市場のデータから、金融資産を運用していくと、リタイア時の4%を毎年取り崩して行っても30年後98%の確立で資産が0にはならないというトリニティ・スタディという研究があるためです。
生活費の25倍なら、4%でも「25年分×0.04=1年分」で、ちょうど1年分の生活費が毎年を取り崩せますよね。
トリニティ・スタディでは何で運用した想定になっているかと言うと、S&P500への投資が75%、ハイグレード社債(高格付け社債)に25%という配分です。
トリニティ・スタディについて詳しく知りたい方は、こちらをご覧下さい。【トリニティ・スタディーとは】FIREするための4%ルールとリスク対策
過去データに根拠があるのはインデックス投資
要するに、FIREの根拠になっている理論では、インデックス投資を前提にしているということです。
こうやって見ていくと高配当株はだんだん苦しくなってきましたね。
私はこういった点から、FIREを目指すなら基本的にはインデックス投資をメインにしていくべきではないかと考えています。
課税の繰り延べ効果
将来徴収される税金たちも働いてくれる
効率性の面で忘れてはならないのが、「課税の繰り延べ効果」です。
株式は所得税15.315%と住民税5%の合計で約20%の税金がかかります。
これは配当利益にしても、値上がりして得られた利益にかかる譲渡益についても同じです。
米国株の高配当株では四半期に一度、配当が行われることが多いです。配当が支払われるたびに、その20%が持って行かれます。(確定申告をすると、米国の課税分は帰ってくるので、ここでは20%で考えていきます)
100万円を投資して4%の配当が出たとして、年間の配当は4万円。これの20%なので、8000円は税金を支払わなければなりません。
再投資できる手元に残るお金は3万2000円ですね。
翌年は103万2000円が投資の元本になります。これの4%運用できたら、利益は4万1280円ですね。
一方、インデックス投資は、売るまでは利益が確定しません。要するに利益の確定を何年でも何十年でも先送りすることができるわけです。
そうすると、税金として徴収されるはずだった利益の20%も実際に売却で確定するまでは、支払わずにすみます。
さっきの例でいうと、この将来税金でとられる8000円が翌年以降も利益確定するまで働いてくれるので、翌年は104万円が元本で運用されます。これを4%運用すると、利益は4万16000円。
2年の利益(配当、値上がり益)どちらも4%想定
- 高配当再投資 → 4万1280円
- インデックス投資→ 4万1600円
利益の差額は、321円になります。
この一見小さな差額が毎年利息のかかる複利の効果で毎年コツコツと積み上がって「課税の繰り延べ効果」という大きな差を生み出します。
あくまで長期運用ならという話
ただ、どこまで大きな差が付くかと言われると、3、40年などの長期運用でようやくそれなりの差が付いてくるレベルで、10年程度だと大きな差にはなりにくいです。
ただ、FIREをめざすならどっちにしろリタイア後も何十年も資産を運用していくことになるので、課税の繰り延べ効果は有効に活用した方がいいのではないでしょうか。
高配当株や高配当ETFへの投資は非効率なのか?
人間は「効率性」だけでは片付かない
こうしてみてくると、もうインデックス投資一択のように見えてきます。
ただ、ここで重要なことを思い出さないといけません。
私たち人間は、感情・心があるので、効率だけでは動けないということです。
太ると分かっているのにお菓子を食べてしまったり、二日酔いするのに、深酒してしまったり。
どんなに効率的な投資でも、それがつまらなくなれば続きません。
どんなに効率的な投資でも、自分の感情を無視してしまうと、暴落時に損切りしてしまったり、積み立てをやめて、失敗なんてことになりかねません。
非効率的な心を満足させるための投資
インデックス投資は、実際に売るまでは利益が確定しません。
また、値動きも経済危機など以外では非常にゆっくりしたものです。
要するに、刺激が少ない、人によってはつまらない投資です。
だからこそ、こうした「つまらない投資」を継続させるための工夫が必要になってきます。
投資全体を楽しくするために、私が提案したいのは、投資資金の一部1〜2割を高配当ETFで持つという戦略です。
非効率的な脳との付き合い方
インデックス投資8割と高配当ETF2割
こうして1割を米国高配当ETFで持つことはさまざまなメリットがあります。
こんなメリットが考えられます。
- 残り9〜8割部分で「課税繰り延べ効果」がきちんと得られる
- 四半期に1度配当金が得られることで、投資が楽しくなる
- 投資が楽しくなることで、投資が続くようになる
- 暴落時にも配当がでることで、心の安定につながる
- 配当がでることで家族の理解が得られやすくなる
現金で配当をもらうとやはり嬉しいものです。
私も先日、総額1万円程度の配当をもらいましたが、やはり投資へのモチベーションが上がります。
将来的にみると、インデックスの方が利回りが大きくなる傾向があるのですが、なんで配当ってこんなに楽しいのでしょうか。
脳科学の分野に「時間割引」という考え方があります。
「時間割引」とは、今すぐもらえる報酬と将来もらえる報酬があるときに、人間は将来もらえる報酬の方を実際の金額よりも割り引いて考える、という考え方のくせのこと。この時間割引率が低い人(将来のことを考えて動ける人)は高収入になる傾向があるとの研究結果がでています。
しばらく我慢すればセールがあるのに、「すぐ欲しいし、いいや!」と思って買ってしまったことありませんか?
私たちがまだ狩りをして食事を得ていた原始の時代、すぐに食事をしなければ腐ったり、他人に取られてしまったり。
生存競争を生き抜き、子孫を繁栄させるためには「時間割引」は重要な機能でした。
しかし、現代社会ではハイレバレッジでFXに投資して大損、ギャンブルで大損、セールで散財、など目先の報酬に釣られるとろくなことがありません。
投資でも将来の大きな報酬のために、目先の報酬を我慢しなければなりません。
だからこそ、人間の脳の仕組み「時間割引」を満足させて、自分の心を飼い慣らすために1〜2割だけを高配当ETFにすることが良いのです。
四半期に一度の配当の楽しみを自分を与え、投資を楽しくしていきましょう。
FIREに関心がない家族の理解をどう得るのか?
投資について学んだ自分でも暴落の恐怖や将来得られる利益のために淡々と投資して、我慢するのはとっても大変です。
投資やFIREに関心のない家族ならなおさらです。
長期的には、家族にも投資やFIREについて学んでもらい、協力してもらうべきです。
最初のとっかかりとして、「配当」はかなりのパワーを持っています。
「配当が入ったからプレゼントするよ」
「配当が入ったから、ちょっと良い外食に行こう」
こんな感じで、配当のパワーを家族にも感じてもらうことが、興味を持つきっかけになり、FIREや投資への理解を得られやすくなるのではないでしょうか。
リタイア後でも重要な配当収益
利回りシールド
高配当ETFを買っておくことは、実は、FIREにおけるアーリーリタイア(Retire Early)部分でも重要です。
さきほど、過去の金融市場のデータをひもとくと、FIREの成功率が25倍ためて、30年で98%と書きました。
失敗するケースというのは、リタイア直後に暴落が始まって、価格下落しているまま取り崩しをしているケースです。
暴落時に売却するのですから、要するに損切りしているのと同じことになってしまいます。
心配ですよね。
でも、大丈夫。FIREの先輩方がしっかり対策を考えてくれています。
(暴落時に取り崩して資産が枯渇してしまう)この問題を解決するために、私たちは2つの戦術から成る体系的な方法を編み出しました。現金クッションと利回りシールドです。
「FIRE 最強の早期リタイア術 最速でお金から自由になれる究極メソッド」 クリスティー・シェン、ブライス・リャン著, 岩本 正明 (翻訳)/ダイヤモンド社より
クリスティー・シェンさんは、リタイア後の最初の5年間あまり、このようにETFで得られる利回りと2年分の生活費の現金を保有することで、資産を売却せずに2008年以降のリーマンショックも乗り切ったそうです。
つまり、今から高配当ETFを持っておくことは、将来の「利回りシールド」をあらかじめ作る練習になるのです。
こう考えると、一部を高配当ETFで持つことは良いことに見えてきましたね。
どの高配当ETFを買えば良いの?
いろいろな高配当ETFがありますが、個人的にはSPYD、VYMあたりがおすすめです。
現状では高配当ではありませんが、増配していった結果、将来高配当ETFに化ける可能性あるVIGを長期保有するなら夢があっておすすめですね。
限りある時間を何に割り振るか
時間のかかる高配当株投資
高配当株投資や高配当ETFもどちらも勉強するのにそれなりの時間がかかります。
特に高配当株は銘柄の選定などにそれなりの時間を割かなければなりません。
高配当ETFの場合も、インデックス投資と違って、高い利回りで手に入れるためには暴落などのタイミングを計ることも必要になってきます。
やはり多少の勉強時間は必要です。
副業や事業で稼げるならそっちに集中しよう
先日、ツイッター上で、不動産投資をメインでされている方が高配当株投資を辞める、と宣言されていました。
確かに他の方法で稼げるなら、高配当株に手を出さずに、インデックス投資を行っていった方がはるかに効率は高いです。
FIREで重要なポイントは、投資でリタイアを加速できるけれど、投資だけではFIREできないということです。
投資で上がれている人は10倍になる株など、かなりのリスクをとって投資している方で、これは再現性はありません。
インデックス投資などの再現性が高い方法を使うとすると、どうしても株だけでFIRE達成は困難になります。
まとめ
インデックス投資、高配当投資それぞれにメリットがあることが分かっていただけたのではないでしょうか。
最後に、この記事のポイントを振り返りましょう。
現状で一番効率的なFIRE達成方法は、S&P500に連動するインデックス投資が最も効率的、時間も節約できる
ただ、その「効率」がその人に合うとは限りません。
高配当ETFにはこんなメリットがありました。
- 四半期に1度配当金が得られることで、投資が楽しくなる
- 投資が楽しくなることで、投資が続くようになる
- 暴落時にも配当がでることで、心理的な安定につながる
- 配当がでることで家族の理解が得られやすくなる
- 暴落時に資産を取り崩さない「配当シールド」の準備になる
私がおすすめし、自分で実践していこうと考えているのは、インデックス投資8〜9割、高配当ETF1〜2割のハイブリットな投資です。
自分に合っているものを選ぶのが継続には最も重要です。条件に応じて、自分の投資スタイルをカスタマイズしていきましょう。
<カスタマイズのポイント>
自分はどの程度、投資の勉強や銘柄選定に時間を割けるのか
他に時間を割くべき高い報酬の副業や事業はないか
家計の見直しや転職、副業の立ち上げなど、投資の勉強の前にやるべきことはないか(今、投資に時間を割くべきかどうか)
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